小学生からトライ!英語で日本文化紹介

英語学習の意欲を育む楽しい目的

2020年度から公立小学校の5,6年生で英語が正規の授業となりました。まずは英語を好きになって学び続けたいという意欲につながったらいいなあと思います。
私自身を振り返ると、英語にすっかり自信を失い、もう勉強などしたくないと感じた時期があります。大学の英語学科で学んだ時です。公立の中学校、高校でカタカナ英語の先生から文法中心の授業を受けていた私は、何を学びたいか深く考えることもなく受験して、最初に合格発表があり入学金を納めた大学に入学しましたが、そこはミッション系の大学でネイティブ講師による授業もカリキュラムに組み込まれていました。

最初の授業から講師の言っている英語が全く理解できず、その上クラスメイトに比 べて会話力がほとんどない自分の英語力を嫌という程思い知らされました。ネイ ティブのレッスンが受けられる幼稚園、小学校、中学校などを経て私立高校から進 学してきた生徒達は公立組に比べると、英語を聞く、話す能力が高く発音もきれい でした。英語を読んだり、書いたりする能力は外からは分かりませんが、聞けない、話せないと授業の中で目立ちます。その両方の能力が著しく欠けていた私には、それは頑張れば追いつけるという範疇を超えていて、その上英語で文学や政治 を学ぶ授業にも興味を覚えなかったので、気持ちが英語からすっかり離れてしまい ました。現在では英語のリスニング、スピーキング力を高める環境は、テレビや ネットを含めいろいろありますので、私の時代に比べると独学でもその二つの能力 を上げるのは容易になったかと思いますが、当時の私は自分が受けてきた中学、高校の英語教育に大きな偏りがあったと大学で認識したのでした。

大学を卒業し欧州を1年間ひとりで旅している時に、文化と人に興味を抱き、外国に 友達が沢山できて将来その人たちを訪ねて海外を回れるようになったらいいな、と夢のような自分の未来像を描きました。どうしたらそうなれるのかその方法を当時 は全く分かりませんでしたが、友達作りにはコミュニケーションとしての英語力が不可欠ですので、その思いがその後細々ながらも英語を学び続ける原動力になった のでした。英語を学ぶことに何か楽しい目的を見出したり、好きなことと絡められ れば、ずっと学び続けようという意欲につながると感じます。
現在の私は出会った外国人と友達になり、そのお宅にステイするのは夢ではなくなりました。それを可能にした手段は「日本文化を英語で紹介」することでした。

「英語で日本文化」と聞くと、自分にはハードルが高すぎると思われるかもしれま せんが、紹介するものを選び、やり方をちょっと工夫すれば誰でも外国の方と日本文化を楽しむことができるのです。相手から喜ばれた体験をすると、「自分にもできる」が実感できて、もっと英語や日本のことを学びたいという気持ちになります。
自分には紹介できるものなどない、英語力も低いから無理、ということはありません。紹介するものは​自分の好きなもの、得意なもの、できそうと思えるもの​、から選ぶとやりやすいし、英語に不安があれば英語をさほど使わないものを選ぶという こともできます。書道、茶道、料理などのようにそばで見ながら体験できるものは、少ない語彙でも紹介できます。回を重ねるうちに必要な英語表現を増やしてい けば良いのです。

小学生からトライ! となるとお勧めは折り紙です。小学生は折り紙に慣れている ので難しいとは感じません。 英語に関しても、折り紙に必要な基本表現は限られ るので、それを覚えてしまえばどんな折り紙にも使えます。同時にその折り紙と他に何を組み合わせることができるかを考えると想像力が養われます。 例えば、 チューリップの折り紙を教えて、紙コップを使って鉢植えの作品に仕上げる。紙 コップに日本の文字を書いてみる。赤、白、黄色のチューリップ作品から、チュー リップの唄を教える。 赤、白、黄色の日本語を使って、その場にある色探しをし てみる。こんな訓練をしていくと、外国の方と長い時間一緒に過ごすことが楽しく なります。日本文化を外国人に紹介することは、自身が主体となって英語を使う環境に身を置くことですから、英語を話すのが苦手とされている日本人の会話力を高めるのに有効なやり方です。

日本文化を英語で紹介する方法を学びながら、それを実践する場を想定してそこで 必要とされる会話、例えば自己紹介、挨拶、ちょっとした意見を交わす等など の 英語表現を学べばクラスでロールプレイができます。こうしたことをきっかけに、 自分が紹介したいものを考えてみると、好きなこと、得意なものが見えてきて自身 の長所探しにもなるだろうと思います。かつて私はカタカタ英語の発音に悩んでそ れを矯正しようと色々試みた時期がありますが、幼稚園から80代に渡る幅広い年 代の5千名を超える外国の人々と日本文化を通して交流してきた経験から強く感じ るのは、ネイティブに近い発音にこだわるより大事なのは「伝えるもの」があるか ということでした。逆を考えてみて、日本語をきれいに話せても自分の意見がな かったり、話題に乏しかったりする外国の人より、片言でも一生懸命に話してお しゃべりが楽しい人の方がお友達になりたいと感じられるのではないでしょうか。 日本語で話すことができないものは英語で話すことはできない訳ですから、自国の文化をしっかり母国語で学んで、自分の意見を含め、英語で話せる、文章が書けるとつなげていくと、今の時代では海外でイキイキと羽ばたく自分を実現させるのは夢ではなくなります。

私にとって「英語で日本文化紹介」は、英語学習や日本文化を学び続ける原動力であり、自分の世界をより広く、楽しくしてくれる存在です。こうした自身の体験を今後は英語を学び始める小学生たちにも伝えていきたいと思います。