年中行事で日本紹介

「日本の年中行事にはどんなものがあるの?」と外国の方から尋ねられたら、どんな行事を挙げるでしょうか。 行事の中には自分に関係がないものもありますし、また、普段そうしたものを意識していないからよく知らないということもあります。他にその地域独特の年中行事というものもあるでしょうから、日本人であっても答えに戸惑う質問と言えるかも知れません。

私自身がすぐ思い浮かべる年中行事としてはお正月、成人式、節分、バレンタインデー、ひな祭り、春と秋のお彼岸、お花見、子供の日、七夕、お盆、七五三、クリスマスなどがあります。 私が子供の頃はお月見も行事の一つになっていて、母がススキを花瓶に挿し、お団子や野菜、果物を盛った縁側に家族が座って一緒に月を眺めました。近頃ではそうした風習のあるお宅は稀でしょうし、テレビなどで「今夜は中秋の名月です」と報道されたら空を見上げるくらいかと思います。

お正月にしても、かつては母親が年末に一所懸命調理した伝統的なおせち料理を家族が松の内は食べ続けていましたが、現在ではお正月が醸し出す雰囲気も家庭内での儀式も大きく様変わりしました。お正月に関しては、寺や神社に多くの人が初もうでするのは昔も今も変わりませんが、それ以外の祝い方は個人や家庭で随分と異なるでしょうから、自分の家庭ではとか私の場合ではとして説明した方がやりやすいでしょう。

バレンタインデーやクリスマスは、キリスト教の国で大事な行事ですが、クリスチャンがごく少数の日本では商業ベースの催しです。日本のバレンタインデーでは、女性から男性にチョコレートを渡すのが風習。でもこれは日本独自のもので、誰から誰に何を渡すか限定されていない国が多いのです。クリスチャンが少ないのに何故クリスマスを祝うの?といった質問は外国の方からよくされます。双方の国でお馴染みの行事に関しては、その内容をお互いに比較しあってみるのも面白いかと思います。

アメリカの学校で日本文化を紹介する親善大使を派遣していた頃、プログラム参加者や私は実際に現地の学校を訪問すると、生徒たちが楽しめそうな日本の行事を授業の中に組み入れました。 例えば、お正月の説明をした後に、クラスの生徒全員で伝統的な遊びの一つである福笑いをやってみる。 事前に顔の部位を日本語で教えておくと、目隠しをされた生徒に部位を渡すときは日本語で伝えることができます。生徒たちが知っているHead Shoulders Knees and Toes~ の歌を同じメロディの日本語バージョンでジェスチャーをつけて歌ってみるなど、やり方を工夫すれば授業の中身がドンドン広がります。

ニューヨーク州北部にある幼稚園から中学2年迄の生徒が学ぶ学校を私が訪問した時は七夕の紹介として仕掛けのある紙面で七夕物語を披露した後、七夕飾りを作ることにしました。 笹は見つからないので先生が近くの山から切り出した2本の木で代用です。いくつかのクラスで紙を折ったり切ったりして飾りを作り、カラーペーパーを短冊状に切ったものに多くの生徒が願いを書き、木に針金で留めました。私の滞在期間が短かったので全員参加の作品にはなりませんでしたが、全校生徒の集会で使用する大きな講堂の前方左右に飾られたので日々生徒の目には触れました。

現地で作った七夕飾り

年中行事と折り紙を組み合わせると何回かの授業ができます。お正月なら門松、節分の鬼、ひな祭りの男雛、女雛なら二つ並べてカラーペーパーに貼れば素敵な作品です。 子供の日は兜、新聞紙で作ると頭にかぶれるので子供たちは大喜び。 クリスマスはツリー、サンタクロース、ブーツなどの折り紙ができるので、いつもと違ったクリスマスカードが作れそうです。一つの行事からどのように話題を広げられるか、何か遊び的な要素を加えられるかといったことを考えると、年中行事は外国の方と楽しみを共有できる要素がいろいろあるのではと思えてきます。

大きな紙で兜をおり喜んでいるアメリカの子供達