ワークショップを始める

英語落語に挑戦

公開講座を頻繁にやっていた頃から10数年経ち、ワークショップを開催しようと思い立った時、自分の人生に「英語で日本文化紹介」がどう役立ったかについて伝えていきたいと考えました。

講座をやっていた当時、いろいろな日本文化の紹介法を自分なりに試行錯誤していたものの、それらを実際に外国の方に紹介するという経験は少なかったので、それをやり続けると自分がどう変わるのか実感できなかったのです。介護生活が終わって行動の自由が得られるようになり、国の内外で日本文化を介して外国の方々と交流する経験を積み重ねる中で、私の興味の対象はどんどん広がり、紹介法に関してもユニークさを求めたいという気持ちが強くなっていきました。そんな自身の変化は日々の生活を満ち足りたものにしてくれました。これは多くの方にも当てはまるのではと思えて、伝えたいという気持ちになったのでした。

11月から始めたワークショップの1回目では昔話の実演はネズミの嫁入り。以前にもやったことがある2つの紹介法に加えて今回は3つ目のやり方として初めて落語の手法を取り入れました。落語は日本文化の一つとして紹介してみようかと、20年ほど前に英語落語のビデオをいくつも見て出来合いの英語落語を覚えたりしていたこともあるのですが、どうもうまくできずに自分には向かないと諦めた経緯があります。それがネズミの嫁入りを英語で練習しているうちに、この内容は落語風にできるのではとふと思いついたのです。私の昔話の紹介では、物語を会話体にしていることが多く、落語も話し言葉が主体なので、まとめるのは簡単でしたが、最後に「落ち」となるPunch Lineを考えるのに苦労しました。

「落語とは何か」を説明できるようにまとめることもしました。テレビでたまたま落語演芸会を見ると、落語家が高座に座って着物姿だったので、もし自分が外国人に落語もどきでもやるとなったら、海外にいても最低限羽織くらいは着るだろうと、ワークショップでは数種の花が描かれた黒の羽織を着て、頭に一番と書かれた鉢巻を締めました。たかが衣装、されど衣装で身につけるもので相手の興味を引き付ける度合いが大きく異なってくるので工夫が大事です。

ラグビーのワールドカップの試合をテレビで見ていたら、必勝などの鉢巻をした外国人の姿を多く目にしました。遠い昔、アメリカのニューヨーク州の学校で日本文化祭りをした時、多くの子供達に鉢巻を締めさせて、手作り神輿を担がせたことが思い出されました。生徒はとても張り切っていましたので、恐らく外国の人にとって鉢巻は日本人が考える以上に不思議な魅力のあるものなのでしょう。ネズミの嫁入りのお話では、世界で一番はネズミという結末になりますので、私の場合は一番という鉢巻をして、そこから日本の文字を紹介するきっかけにつなげられるだろうという思いもあったのです。

ワークショップの開催は過去にやっていた私自身の日本文化の紹介法を見直す機会になりそうです。どのようにしたら、パフォーマンスがさらに面白くなるのか、それを考えながら今後のワークショップを続けていきますが、同時に「英語で日本文化紹介」を切り口にすると、楽しい世界が広がることも自身の体験談を交えながら語っていきたいと思います。