記憶に残る折り紙の思い出(4)

折り方過程を忘れて教えられなかった作品

折り紙を外国の人に教える場合、一番当惑してしまうのはどんな状況でしょうか。折角覚えた英語が出てこないのも残念ですが、何よりも作り方を忘れてしまったら先に進みません。

事前に教えることが分かっていれば、そのための対処法を考えておくのですが、私の場合、予測しない時にそれが起こり、それが同じ折り紙作品であったという残念な体験が2回あります。

2019年の8月にパリに滞在中、近くの図書館で折り紙のワークショップが開催されると友人が教えてくれたので出向きました。図書館スタッフにまず場所を確認してその場に行ってみると、一人の女性が何組かの親子に教えている最中でした。 日本から来て折り紙はいくつか折ることができると簡単な自己紹介をすると、「どうぞ」と笑顔で受け入れてくれました。私が羽ばたく鶴を折ると、娘に付き添って参加していた父親が興味を示し一緒に折り始めました。 年齢の低い子供達は完成品を受け取るだけで喜こびました。続いて途中まで過程が同じつのこう箱を私が披露した後で、女性がぴょんぴょんガエルを折り始めましたが、出来上がった作品は私が今まで何冊かの日本の折り紙教本で習ったものと形が異なり見るからに重そうです。「これは跳ねるのよ」と得意気に彼女が実演しても、ほんの1センチほどしか上にも前にも動きません。私が公開講座で紹介してきたカエルは幅跳びや高跳びゲームができるほどよく跳ねたので、参考にその作品を見てもらいたいと折り始めたのですが、仕上げに至る最後の2~3の過程がどうしても思い出せません。折り紙の本は海外でも出版されていますが、日本と随分違うカエルが紹介されているのに始めて気付くと同時に日本で一般的に広まっているカエルを見せることができずに残念でした。

羽ばたく鶴 尾をひっぱると、羽が動きます。

別の思い出は数年前にイギリスのオックスフォードの友人宅に滞在していた時。 ドイツに住んでいる孫娘にぴょんぴょんガエルを折ってあげたいので教えて欲しいと突然言われました。 その時は出だしから思い出せず、帰国後に過程図を彼女にメールで送りました。ぴょんぴょんガエルのように遊べるもの、動くものは人気があるので時々は折り方を覚えているか確認する必要を今回のパリの体験から実感しました。また、出来上がった形が全く同じでも折っていく過程で作りやすさに差が生じるので、折り紙に慣れていない人がより簡単にできるやり方を常に心がけることも折り紙を教えるうえで大事な点になります。そしてネット検索でも見つからない作品の場合は、その過程をスマホなどに保存しておくのも一方法です。