折り紙で創造力を育てる

外国人に紹介して喜ばれる折り紙の一つが「木登り猿くん」。折り上げたところで2つのパーツに切り離し、猿の顔と木を別々に描いて使います。

木の根元にいる猿が木を登っててっぺんから顔を出すので動く折り紙として好評なのですが、この作品では裏面に各人のアイデアで絵を描くことができます。何かが下から上がってきて、てっぺんから出てくる。 皆さんならどんなアイデアが浮かびますか。

カルチャースクールや公開講座で木登り猿君を作り「裏面に思い付きで絵を描いてみましょう」と続けるとシーンとなります。でも制限時間でアイデアを発表するのはほんの数人で、ほとんどの方は「何も浮かんでこない」と言います。

そうした受講生から「家で木登り猿君をやったら子供達からいろいろなアイデアがでてきた」と次の講習会で報告を受けることがよくあります。太陽が昇った、花の芽が出た、というのはよく出てくる例ですが、「ママがサーフィンしているところ」というユニークなアイデアもありました。 皆さんのお話を伺っていると、こうしたアイデアをすぐ思いつくのは幼稚園児や小学生のようです。

アメリカの小学生が作成。火山が噴火するアイデアを思いつきました。

木登り猿君の応用。

下の2つの三角形の部分を上下に動かすと、中に隠したアオムシが現れます。

親善大使対象の月例勉強会で、私は毎回いくつかの参考パフォーマンスを見せ、皆さんには自身も楽しめるそれぞれのやり方で行うよう話すのですが、紹介する日本文化によってはこちらが渡す教案通りにやる人が多いように感じられました。「ほかにやり方が浮かんでこないから」というのが理由です。 そんなことから、いつごろから創造力が鈍くなったとのだろうかと話しあってみると、受験勉強を始めた頃から何かを創造する機会がめっきり減り考えることも無くなったことを要因に挙げる人がほとんどでした。

木登り猿君は、創造力を生かせる作品ですが、他にも出来上がったものをどう活用するかで楽しみを増やせる折り紙が沢山あります。例えば、ピョンピョンガエル。これは跳ぶという動作から、高跳び、幅跳び、その他面白いゲームがいくつも浮かんできそうです。折り紙の活用法を考える遊びは幅広い年齢層でやれるので、ご家族やお友達と一緒に楽しんでみたらどうでしょう。 どんな折り紙を紹介するのか、折りあがった作品をさらに楽しむにはどうするのか、そうした角度でみると、折り紙は発想力、創造性を育てるのに適した文化の一つであると私には思えるのです。

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